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音楽は握手のオマケか。 [独り言]



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ディスクユニオンの広告コピーがネット上で話題になった。



「音楽は握手のオマケか。 音楽は、手を握るためにあるんじゃない、音楽は、心を震わせるためにあるんだ。」というもの。



これに対してネット上には様々な意見がアップされていた。



総じて言えは、このコピーへの価値観は本当にそれぞれだという事だ。



また音楽が握手のオマケかどうかについて決めるのはユーザーで、ディスクユニオンに言われる筋合いじゃないという意見も多かった。



自由主義経済においてそれは一面正しいのかもしれない。しかしディスクユニオンがこうでも言わねばならない位、音盤(レコード)業界の現在、そして将来は暗い。





ハッキリ言うと、CD・音盤の産業は超斜陽産業で、確実に超縮小市場向かっている。現在のレコードメーカーは、スタッフの高齢化とビジネスモデルの崩壊に喘いでおり、そこに残ってしまった人々が自分たちの生き残りをかけてただただ必死というのが現実だ。

現代において、音盤を買い、それが人生とリンクした記憶を持った世代は、かなり下を見ても45歳以上だろう。それ以下になればなるほど音盤への愛着は薄くなり、30代以下で音盤への愛着があるとすればマニアックな人々の部類に入る。





レコードメーカーで働く人々は、音楽を愛し、音盤を愛し、ミュージシャンを愛している集団だ。そして彼らが輝いていたのは、15年前辺りまでだ。

ここ最近、レコードメーカーに来る新人社員さんは音楽制作のポジションを望まないと聞いている。昔は超花形ポジションだったのにだ。
でもそれはそうだろう。音楽制作のポジションにはビジネスとして未来が無いからだ。若いスタッフがいない職場には、未来はない。



先ほど高齢化とビジネスモデルの崩壊に喘いでいると書いたが、レコードメーカーはスタッフの新陳代謝すら失ってしまっている。





現代においてレコードメーカーは、売れない製品を作り続ける事でしか自分たちの存在を肯定できず、売れない製品を何とか売るために、ミュージシャンやタレントに握手をさせたり、ハグさせたり、サインをつけたり、写真を撮らせたりしている。



つまり、レコードメーカーはituneの出現以後、「音楽・音盤」という自分たちの製品の核の価値を自ら否定し、音楽とは無関係な付加価値に依拠して製品を売るしかないビジネスモデルに行きついてしまったのだ。



また市場では全くと言っていいほど価値のない「音楽」を作って、音楽とは無関係な付加価値をつけなければ自分たちが存続しえないという矛盾の中で暮らしている。時代とは言え、悲しい話だ。(それでも私は年に何枚かCDを買っているが・・・)



しかし敢えて言わせてもらえば、殆どのレコードメーカーは、20年ほど前から予想されたこうした事態に真剣に真摯に面と向かって来なかった。今更慌てての遅いって感じだ。

最近(2016年4月)、やはりこの点に言及した人がいた。ビレバンの金田氏だ。彼の発言は以下で読める。彼曰く、「CDを売るだけの手伝いはもうしたくない。なぜなら売り上げが立たないから。でも、音楽を売る手伝いはしたい。」ということだ。本音だろう。殆どのレコードメーカーは背に腹は代えられないという押し売り商法でCD(音源ではない)という物を売ろうと必死だ。彼らの核心的利益はそこにしかないからだ。
でもこれまでとても美味しいビジネスの上にずっと胡坐をかいて、上手く行きそうになくなった途端、その対策を自分たちで考えず、外の関係者に負荷(握手会、ハグ会、ツーショット写真、サイン色紙などなど)をかけて乗り切ろうとする連中の発想は、もはや産業に携わる者として終わっているのだ。


(ビレバンの金田氏の発言)

http://www.cinra.net/interview/201604-vvrocks?page=4

 



現代における音楽ビジネスは、製品(CD)から体験(ライブ)に置き換わっている。従ってここ5年でライブ産業が急速に伸びてきたのだが、殆どのレコードメーカーはこの波を掴めなかった。製品はコピーされやすく、価値を失い安いが、ライブは逆だ。昔は音盤のための宣伝としてライブが位置されたが、現代において音盤は、ライブの宣伝ツールでしかない。
(ちょっと付け加えておくと、2015年、ライブエンタの大手企業LIVE NATIONは約8250億円の売り上げを出しているが営業利益は1.8%の130億円。かなり利幅が小さい。また事業別でみると、ライブでは約5600億円の売り上げだが、120億円の赤字なのだ。彼らは何で利益を出しているかと言えば、ライブにまつわる広告タイアップと、チケッティングの手数料なのだ。だからライブビジネスが単純に儲かるわけじゃない。)



かつてはアーティストの放つ音楽を愛し、そしてアーティストに憧れ、ライブに行ったが、現代は、アーティストの存在を愛す事からライブに行き、その彼らの放つ音楽が良ければそれも聞くという順番になっている。



今でもレコードメーカーの人たちは1枚でもCDを売ろうと必死だが、かなりのアーティストでもまともに売れない時代だ。従ってベテランと言えるようなアーティストでも、場末感満載の場所での生ライブと即販売会(握手付き)を行うし、K-POP系とかだとハグあり、ツーショットありの、いわゆる「ホスト対応」と呼ばれる方法でCDを販売しなければ売れない。

またAKB商法として批判を浴びた売り方も記憶に新しいが、現代のレコードメーカーは、ボッタくり商法とも言えるやり方をしなければ売上、利益が作れない情けない産業になってしまったようなのだ。



ファン1人に数十万、場合によっては数百万ものCDをこうしたやり方で売り付けるレコード産業は、もはや常軌を逸しているし、産業としての矜持は全くない。



そういうやり方でしか生計を立てられないレコードマンに「矜持」を求めるのは酷なのかもしれないが、それにしても情けない業界になってしまった。



こうした売り方でしか売れないものなら、もはや音盤でなくてもいいんじゃない?って感じだ。ゲームのトランプでもいいし、チューインガムでもいいだろう?



音楽産業は無くならないだろうし、音楽も無くならないが、レコード業界の10年先は全く闇の中である。想像だが、近未来のレコードメーカーは、音へのこだわりを持った個人レーベルがその価値を分かる人だけに送り届けるような形になり細々とした形にならざるを得ず、レコード会社はいずれ、それより大きな組織の部門か課程度になってしまうだろう。



かつてのレコードメーカーの輝きを知っているからことさらに現代のレコードメーカーの実情を見ていて悲しい。



時代とは言え、音楽産業には残酷な時代が来たものだ。

それでも私は音楽が好きだし、音楽の良い時代に巡り合ったと思って感謝している。




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