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若いバンドマンたちが知るべきライブハウスのビジネスモデル [独り言]

若いバンドマンが知るべきライブハウスのビジネスモデル



いきなり話がタイトルとかけ離れた感じになるのをご容赦願いたい。

社会に出ると意外と色々な事を教えてもらえない。大抵の場合、オンザジョブトレーニンング(通称オンジョブ/OJとも言う)、つまり実地で学ぶというのが世の常だ。
人生設計の書き方も教えてくれない。大抵は自分で書き方を開発するしかないのだ。
そのために自分で勉強するクセを付けないと人生がまるまる無駄になる事だってある。
知っていれば避けられた、止められた、もしくは他の方法を取ったなんて事に出くわすからだ。

ミュージシャンには悪いが音楽家を自称する多くの人たちは「ビジネス」に疎い。「ビジネス」とは何かと言えば、金儲けだ。
もちろん音楽という才能に秀でているのがミュージシャンであり、その分野の達人だからサラリーマンのようにビジネスに詳しくなるのが良いかどうかは人の価値観によるかもしれないが、社会で生きていると結局最後は金の問題になるのは音楽を生業にする業種だって同じだ。


ミュージシャンにとってもアーティストと言われる人にとっても現実の生活を維持するためには、自分の音楽や芸術的作品をマネタイズ(金に変換するという意味)しなければならない。
それが世の現実だ。
芸術と金の話は相反しがちで嫌悪をする向きもあるが、現実はそうではない。
だからその分野のビジネスを知っている方が良い。

企業の経営管理部門ほどの財務知識がなくても、音楽ビジネスの基礎や構造を学ぶのはミュージシャンにとってさほど難しくない。(一部例外が居る事は言っておくが・・)
何故なら彼らは毎日それを「実践」しているからだ。
従ってミュージシャンが音楽ビジネスの基本構造を知るのは人生において無駄になる事は絶対にない。

ポール・マッカートニーもミック・ジャガーもデビュー当時はビジネス構造を知らないために搾取されたが、その後知恵を付け、音楽ビジネスのど真ん中にいる。
ストーンズエンタープライズなんて言われ方をしているのはミックがミュージックビジネスに敏感だったからだし、ポールが1200億円ともいわれる資産形成が可能だったのはそうした知識を得たからだ。
だから世界的に見ても、ミュージシャンだからビジネスに疎くて良いんだと考えるのは愚か者と言っていいだろう。少なくともビジネスに疎いミュージシャンは適切な環境で生き残れず、自分の活動を理想的に保てないと言い切れる。

さて音楽ビジネスのの入り口とも言えるのはライブハウスのビジネスモデルだ。何故か?

ロックにしても何にしてもバンドや個人活動をして音楽の世界で一旗揚げようって人達は、ある時期ライブハウスのお世話になる事が多い。レコード会社のようなメジャーなステージに行こうと思ったら、大抵の場合ライブハウスなどで一般に自分たちの音楽を生で訴求するしかない。現代ではYOU TUBEという方法もあるが、少なくとも未だにライブハウスはそれなりの役割を担っているだろう。
またライブハウスを使わないにしても、他人に自分の生のパフォーマンスを見せようと思ったら、それなりの施設を必要とする。

東京都内のライブハウス数は、以下の情報サイトによれば300軒近くあるようだ。




ライブハウスで主催イベントをやった人なら金銭的な部分で疑問を持つような局面に出会うだろう。
特にライブハウスを利用する際に必ず経験するのが「チケットノルマ」という制度だ。
「チケットノルマ」とは、ライブハウスを利用して主催興行を行う主催側が
ライブハウス側に対して「最低売上保証」をするシステムだ。

「チケットノルマ」には様々な見方や考え方があるが、このシステムをライブハウス側の視点で言い換えると「ルームレンタル」の延長のようなビジネスと変わらないだろう。
つまり主催側からすれば、「最低売上保証額」を払ってライブハウスの空間を借りるという事になる。

ただし、「ルームレンタル」と若干違うのは、「ルームレンタル」は部屋貸しだけのビジネスだが、
ライブハウスには、部屋貸しに加えて音響等の設備付帯と人的・環境的支援がある点だ。
よって主催側はライブハウス側から空間と機材と人を借りて興行をするという事になる。
ライブハウス側はその対価として「最低売上保証(会場レンタル+付帯費)」を求めるのだ。

このライブハウスのビジネスの利点の1つには、借り手、つまり主催側が連れて来た客から飲食費等で追加の売上を作れる点だ。
更に主催側から追加で金を取れる方式も採用している。
これが「チャージバック」だ。
主催側との力関係にも依存するのだが、主催側に100%チャージバックしない限り、ライブハウス側は主催側から印税のように追加の金を取れる仕組みを持っている。

ライブハウスのビジネスのポイントの整理 ①:

(1) ライブハウスのビジネスは、企画者の支払う「最低売上保証=チケットノルマ」によって家賃、設備費、人件費の回収を確実にしている。
(2) ライブハウスは自ら企画をしなくても主催側が企画し連れてくる客からの飲食費とチャージバックによって追加の売上を作る事が出来る。

つまり、ライブハウスのビジネスモデルは、外部公演企画者に対して「ルームレンタル+音響照明機器とスタッフの貸出+飲食環境」を”パッケージ”で提供する「会場レンタル・ビジネス」と言え、また外部の企画によって集められた客から追加の収入を得られるように「飲食が付加」させてビジネス化しているのだ。

非常に冷たい言い方をすれば、ライブハウスは他人が企画し、集客するイベントに「場」を貸す事でそれ以上の売上を追加で行なえる効果的な商売しているということだ。
なかなか頭が良いと言える。


よって主催側(もしくは出演者)は、ライブハウスを使う代償として最低限のルームレンタル代を払い、企画し集客し、場合によっては追加で金を取られた上で興行をするという事になる。
ライブハウス側は、興行そのものに対するリスクは全くない。(ライブハウスが主催興行をやる場合は別)。
何故ならば主催者が1日の利用における最低保証をしてくれているからだ。


仮にリスクがあるとすれば2つのケースで、1つは集客が悪すぎて飲食費とチャージバックの売上が思ったほどではないという場合と、誰も借りてくれないという場合だ。
特にライブハウス側は、ライブが開催できるための最低限度のシステムを維持管理し、そのためのスタッフも雇用しており、固定費がかかっている。固定費は毎日かかるため経営的には売上と償却を必要とする。

従ってライブハウス側にとっては日々の最低限度の売上保証をしてくれる主催側が「借りてくれない事」と「企画が悪くて集客が想像以上に悪い事による飲食売上の低下」の2つのポイントが経営上の主要リスクになる。
よって、ライブハウスにとっての一番良い客は、ライブハウスを一杯にし、飲食やチケット代からの追加収入を増やしてくれる主催者ということになる。


もし主催側が設備の無い場所でライブをやろうとおもったら、場所代に加えてPAや照明をレンタルしオペレーターも必要になる。また別途舞台設置も必要となるかもしれない。また遮音設備も必要になるので、会場もそれに相当した場所となるだろうからかなりの手間暇と金がかかりそうだ。
そういう意味で、ライブハウスというのはこうしたイベントを行う場所としてオールインワンで使えるため利用者側からすれば「手ごろ」である面はある。

ちょっとしたイベント等を行いたい主催者側がライブハウスを利用するメリットは、会場設営の手間暇やリスクを一切合切ライブハウスが引き受けてくれた上で、ある程度手ごろな価格でパッケージ化して貸し出してくれ、そこに飲食が出来る環境を整えている点だろう。
主催側や出演者は、ライブハウスを借りた興行の方が別の場所を借りて機材を調達するよりも経済的効率が良いかどうかが鍵となるが、結局ライブハウスの方が利便性が高いのが現実だ。


さて、主催側のビジネス状態を検証してみよう。

例えば満員になっても100名程度のライブハウス会場でチケット代3500円でライブイベントを開催した場合を考えてみよう。
主催側のノルマ60枚とし、61枚目からチャージバック50%と仮定しよう。ドリンクチャージは500円。
出演バンドは3バンド。各バンドのノルマは20枚(7万円)とする。


60枚売れて21.0万円だ。さらに来客者からの初期(入場時)ドリンク代で追加の3.0万円を売上げる。この時点で合計24万円となり、これは全てライブハウスの懐に入る。
仮に最終的に100枚売れてチャージバック対象が40枚で50%バックと仮定すれば、主催側には70,000円(3,500円×20/40枚)が帰ってくる。
主催者が1円も取らずバンドに全てを還元した場合、1バンド辺りの分配は23,333円だ。リハーサル代、移動交通費、生活費まで考えたら手残りは僅かだ。主催者だって生活があるだろうからこれでは主催者は成り立たない。つまり1晩7万円を関係者で分けるという感じだ。仮にチャージバックが100%で14万円であっても4者での平均分配額は3万5千円程度だ。

バンドの場合、1名辺りの手残りは人数で割った数となる。主催者も複数名いれば同様だ。
これで景気良く打ち上げ何ぞやったら明らかに赤字になるだろう。
でも殆どのアマチュアミュージシャンやモノ分かりの悪いミュージシャンたちは景気の良く打上げをやって赤字にしてしまう。ライブハウスにして主催者や出演者は非日常的行為だと思いがちだが本来はそうではない。
この現象だけを評価すれば、この日この人達は自腹でハデな宴会をやるために膨大な時間とエネルギーを使ったという言い方にもなる訳だ。
心当たりのある人は良く自分たちのやっていることを評価した方が良いと思う。


しかし上記の場合でチャージバック50%の場合、ライブハウスには追加のチケット代7万円とドリンクチャージで2.0万円が入るので、
最終的にはこの夜の売上が33万円となる。
もちろんここに記載したのは、あくまでも仮定の数値だが、実態はこれに近い。
見方を変えると、主催者は33万円を払って会場と設備、スタッフをレンタルした事になる。
これが安いのか高いのかは主催者の企画と集客に依存する。

こうして俯瞰すると主催側にとって集客100名程度だと、とてもビジネスにはなり難いのがお分かりだろう。
ある程度のビジネスにしたければ入場料金を1万円程度にしなければならないが、そんな高いチケットを取れる公演ならそもそもライブハウスでやるはずもないので悩ましい。
逆にノルマを達成出来なければ主催側やバンドはライブハウスに対して保証額に対する補てん金を支払う羽目になる。
そうなると赤字興行だ。実際、ライブハウスで主催興行を行う人たちには、こうしたケースが多いと思われる。


そもそもライブハウスのビジネスモデルは、主催側には圧倒的に不利に出来ている。
理由は極めて簡単だ。
100名~200名程度のライブ興行というのは単純に主催側にとって非常に効率が悪いのだ。
正直言うとこの程度のキャパでしか出来ないバンド、歌手、イベントはそもそも興行を「ビジネスとして考えてはいけない」のだ。言い方が辛辣だが事実だ。

言い方を変えるなら、この程度のキャパで本気でビジネスをしたいなら、ライブハウスの規模なんかではイベントをやらないか、ライブハウス側から出演の依頼を受けて「ギャラ受け」で演奏等が出来る人間に限られるという事だ。そうでもしない限り出演者や主催側がライブハウスに御して「利」を取る事は難しいという訳だ。
一般のライブハウス興行を企画する多くの人たちは、このポイントを殆ど理解していない。

ライブハウスのビジネスのポイントの整理 ②:


(1)ライブハウス興行は、主催者にとって非常に効率性が悪い。
(2)興行を成立させるポイントは集客数だが、ライブハウスは集客上限が低いため非効率になる。



通常ライブをするためにはアレンジ、リハ、ポスター・チラシ制作、楽器移動等の事前の手間がかかる。
こうした固定経費や手間(手間も金銭に換算できるものです)を確実に回収するためには、集客数を多くする以外にはチケット代を上げるか原価率(経費率)を下げる方法がない。
事業をやっている人なら当たり前の公式だが、「売上-原価=売上総利益(粗利/限界利益ともいう)」で表される。
売上総利益の率が高くないと最終的な利益(営業利益、経常利益)は高くならない。これを言い換えれば、売上を高くして原価を下げるか、小さい売上なら原価をシビアに下げる必要があるという訳だ。しかしライブハウスの興行はこの原価を下げるのが非常に困難だ。

こうしてみれば、100人の客に対してやるより1000人の方がビジネス的に良いに決まっているのは素人の人でも簡単に理解出来るだろう。
だから一般的な意味で、100~200人程度のキャパのライブをする際は、出演者や関係者が持ち出しをしてでも宣伝的な意味合いとしてイベントを決めるか、もしくは金銭的にはブレークイーブンにして、自分の手間だけが持ち出しになるという程度にするのが適当な在り方だろう。自分の手間だけが持ち出しになるという事はボランティアでありビジネスとして成立しない。(何故からボランティアでは自分の食い扶持が稼げないからだ)

よく新人のミュージシャンで、アルバムを出すとライブハウスツアーでもいいからやらせて欲しいと望む人がいるのだが、アルバムを売るために無理してライブハウスツアーなんかに行けばビジネス上は失敗の可能性が高くなる。昔なら宣伝行為と割り切ってやった事はあるが、効果が表れるかどうかは不明だ。(効果がある場合には時間がかかる)

もちろんライブハウスツアーでも総動員数が1万人とか2万人で利益を出せる見込みがあり、加えてCDやグッズを売って経費を回収した上で利益を出せる組み合わせが可能だというならやった方がいいだろうが、なかなかこういう組み合わせを見た経験がない。それほどライブハウスツアーは事業になりにくい。

またアマチュアのミュージシャンでライブハウスツアーを経験した人も多いだろうが、チケットバックで移動宿泊費すら賄えない人が多いと思う。これは当然の事で、前述したが、ライブハウスに招聘されているならともかく、持ち込み企画の場合、ビジネスモデル上そうならざるを得ないのだ。

私の経験的な感覚値で言えば、興業でビジネスラインに乗せるためには、出演者1名辺りの平均集客が400名を超えないとやる意味がない。チケット単価は最低でも4,000円は欲しい。
4名バンドなら1,600名だ。これでも売上640万円程度だ。会場費、イベンター制作手数料、チケット手数料、PA、照明費、舞台監督、リハーサル、演出美術、アルバイトなどの経費をこれから差し引けば、出演者への適切な出演料や事務所スタッフの人件費も出るかどうかって位だ。

従って上記辺りがビジネスラインでの最低限度と言っていいだろう。
つまりこれ以下は興行ビジネスとしては余り意味のない行為という事だ。
もう少しビジネス的な余裕を考えるなら4名バンドで1公演の売上は最低で800万円。これくらいの規模がないと出演者にも主催者にもキャッシュが貯まらない。

ライブ興行が規模に依存するビジネスである理由は、客が100人でも1,000人でも5,000人でも基本のやるべき仕事総量が変わらないためだ。
キャパが大きくなるとセットを組んだり映像を使ったりして演出経費が多くなり、当然のように手間もかかるのだが、根本的にこなす業務は全く同じだ。
セットリストの決定、アレンジ作業、リハーサル、会場図面とセットの在り方、照明、音響、舞台設営、楽器移動と組み立て、マーチャンダイズへの対応(企画、制作、検品、管理等)、チケット発券準備と発券、当日の会場の対応、メンバーケアー、衣装、化粧、弁当の手配、宣伝対応、打上げの準備等等・・・。
上記を見ただけでも経験者には「あるある」だろうと思う。
従ってキャパが少ない主催イベントだと手間の割に売り上げ効果が上がらず原価率が高くなり効率が悪いのだ。


さて、前述したようにライブハウスが集客の見込めそうな出演者(ミュージシャン)に依頼して出演してもらうような形以外は、ライブハウスの出演によって出演者がキチンとしたギャラや経費を確保するのは難しい。
地方のライブハウスもしくはカフェの延長のような場所に呼ばれれば、客が20~50名程度なんてザラである。

実際もっと少ない時の方が普通かもしれない。
地方のカフェやライブハウス興行において、一般的な意味合いで1名の客からチケット代で5,000円を取るのは至難の業だ。
仮に2名ユニットのミュージシャンが、4,000円のチケット代で50名の客を呼ぶと売上が20.0万円。
飲食の客単価が2,000円で10.0万円だとしよう。
またここのカフェのオーナーが良い人で、チケット代の70%を出演者に配分したと仮定しましょう。
店には16万円が落ち、出演者には14.0万円となり、メンバー1人当り7.0万円弱となる。

1日にしたら中々いいじゃないか?と思うだろう。
しかしこれには普通交通費、宿泊代(業界ではアゴアシ代という)等の経費が含まれる。ひょっとしたら主催者が良い人で食事を奢ってくれるかもしれないが、それはそれだろう。

アゴアシを別途支払ってくれる場合は、主催側がそのアーティストに惚れ込んでいて、ライブハウス側が名誉のためやオーナーの気心で損を承知でやる場合ような場合だけだろう。

この場合はスポンサーに近い興行になるからだが、年中そんなイベントに呼ばれるはずもない。
地方に移動する際は列車、車などになるが、交通費と宿泊費の蓄積は以外とバカにならない。
売れないバンドが全国のライブハウスツアーをする際に、ハイエースを自分たちで運転して廻るなんていうのを経験した人もいるだろうが、そうでもしないと単位メンバー辺りの固定費を下げられないからこうせざるを得ないのだ。

また、この2名ユニットにマネージャーがいたら、その人物の人件費等もギャラから配分されることになる。
だからこの程度の活動をする人はマネージャーなどは雇わず自分たちでやった方が良いということになるし、マネージャーなんて雇っている場合じゃないのだ。
仮にライブハウスツアーにワザワザマネージャーを雇うバンドやミュージシャンが居たら、ちょっとそのやり方は考えた方がいいという訳だ。

さてこうしたツアー仕事を年に100本やったとしても1名辺りが年間で1,000万円を売り上げるのはかなり困難なのはお分かりだろう。
上記のケースでも7万円×100=700万円なのだ。
加えてバンドで地方のライブをやれば、メンバーが多いから各個人への分配が小さくなる。
従ってライブハウスを拠点として活動するというのは興行主催側や出演者側のビジネス面で言うと効率が非常に悪く実入りも限られてしまうのだ。

理由は簡単で、総動員数が少ないからだ。

昨今、キャリアの長いミュージシャンでもライブハウスツアーをしている様子がfacebookで散見されるが、他に柱となるような売上のあるミュージシャン、例えば全国50箇所のホールツアーを満員に出来るようなミュージシャンのバック演奏をやった上にこうしたライブハウスツアーでちょっと稼ぐというモデルは良いだろうが、ライブハウスツアーが柱になる場合は、経費を十分に回収できるようなギャラ受けの場合以外は旨みは少ないだろう。

ライブハウスが新人発掘の場の役割を担っており、インキュベーション(孵化)を行っているというのは間違いないし、ライブハウスのオーナーが目をつけたアマチュアに身銭を切るような形で場を提供するケースがあることも忘れてはならない。
実際、1960年後期~1980年代にかけてはそういうケースが多く、素晴らしいミュージシャンを輩出した事実がある。
それでもライブハウス側もビジネスをやっていくために、スポンサー的な貢献は一定の限度があるだろう。
小子化が進む中で、IT業界が眩しい時代に、斜陽産業の音楽業界でミュージシャンを仕事とする事そのものに魅力を感じる若者がこれから更に増えて行くとはとても思えない。

昨今は「ヒットの崩壊」という本で、音楽ビジネスモデルが変わり、ライブ主流であればミュージシャンは結構食えるんだというような主張も散見されるが、時代を問わず、才能で生き残れる人は、全体からすれば僅かな人たちで、それらに焦点を当ててイケテルというのは、木を見て森を見ずだろう。

我々の時代には無かったユーチューバーなんていう職業も出現し、それに魅力を感じる子供たちが居る時代だ。
そういう観点を含めて中長期で俯瞰すると音楽を目指す人たちやライブハウスビジネスには厳しい時代が来るだろうと推測される。



結論:


ミュージシャンとしてライブハウスに関わるなら、ライブハウス側から呼ばれて出演出来るようなミュージシャンや演者以外がビジネスをするのは殆ど無理だ。
結局の所、アマチュアの人たちは、殆ど持ち出しか、良くてもブレークイーブンを前提にイベントの開催や出演をする事になるのを覚悟しておくべきだろう。それでも音楽でメシを食うための将来投資と割り切ればそれはそれだと思う。

また、ライブハウス位の規模のイベントで立派な打ち上げをやっている場合ではない。別にライブハウスのイベントを卑下する意図はさらさらないが、自分たちの手残りを霧散させるような打上げはビジネスの規模からしてもやり過ぎだろう。会社員なんて数千万円、数億円の事業を達成するたびに打上げなんてやらない。

特に出演者が周辺の女辺りに声をかけて良い顔をしたいために他人に奢っている暇があったら、リハーサル代に使って技能を磨くのが先だろう。
昔に限らずこの手の輩は今でもいるのだが、少し冷静に金勘定をするべきだろうと思う。
(関係者全員が宵越しの金は持たないという人たちなら別だが・・・)

ライブハウスの主催イベントは、会社の試算表的に言うと、かなり良い場合でも営業利益はイーブンか薄利で、経常利益では薄利もしくはマイナスっていうのが現実だ。
これをやり続けられる人は、他にビジネスになる案件を持っていて、こうしたケースは新しい才能への投資と割り切って意図的にインキュベーションのためにやっている人か、金勘定よりも楽しいからやるっていうちょっと痛い人たちのどちらかだろう。

特に後者の場合、ライブハウスに企画を持ち込み主催をするという行為は、結構金とエネルギーのかかる贅沢な趣味の延長だと思った方がいい。
アイドルのイベントならグッズによる収益もバカにならないだろうが、バンドものは収益の上下が激しい可能性があり、売上としては余り当てにならない。
もちろん今後と考えればミュージシャンで成功する人もこうした環境から出るだろうが、その確率は、サラリーマンが役員になって社長になるよりは遥かに小さい率だと言っておこう。


私個人は、ライブハウスの文化的側面には凄く魅かれるし、大変に興味もある。実際私が40年近く好きなアーティストは、元々ライブハウスの活動を基盤にした人達だった。
ただし、個人的な意見で恐縮だが、音楽鑑賞する環境としては、余程の例外的なミュージシャンを除いてライブハウスでの音楽鑑賞は好まない。
最近は喫煙のライブハウスもあるが、概ね受動喫煙に悩まされるし、受動喫煙をしなければならないというだけでライブハウスには行きたくなくなる。おまけに昔から立ってみるとうのが全く生理に合わない。

それでも若い頃は興味が勝って色々なライブハウスで多くのアーティスト見たが、年齢を重ねると色々な事が見え始め興味が薄れてしまった。
また残念ながらライブハウスで音が良いと思った事が一度もない。
ライブハウスのPAオペレーターには大変に申し訳ないが、技量的にはホールをやるようなPAオペレーターの3段落ち位の実力しかない。
環境的な限界もあるから致し方ないが、仮にライブハウスでやる場合は、ホール級のAオペレーターを雇って連れて行くと思うが、設備限界はある。


皆さんは東京ドームでライブを見た事がある人は多いだろう。ああした大規模ライブは、通常1日目は赤字だ。2日目も多少赤字か、ブレイクイーブン+αというのがライブのリアリティーだ。(もちろん出演者はキチンとギャラをもらえるが・・・)

つまりライブの部分だけで見れば、客が払ったチケット代はそのまま客にお返ししているような状態となる。
従って利益を出すのは専らグッズに頼らざるを得ない。東京ドームでライブをやるというのは、ライブに来てもらってグッズを買って帰ってもらって初めて成立するというのがビジネスモデルの実態なのだ。そう考えると主催としては必ずしも効率が良いビジネスとも言えない。(もちろんドームで大きな利益を出しているイベントも数多くありますので誤解なく)

音楽的才能は遺伝的なものが多く、後天的に伸ばせるものは殆どないというのが私の実感だ。
従って若いバンドマンたちで音楽を職業にしようと思うなら、まず自分に適切な才能があるかを見極める事だ。
その見極めが出来るかも才能の1つと考えて良いだろうと思う。
またその先にはセルフプロデュースという難関が待ち受ける。
長い活動をしているミュージシャンほどセルフプロデュースの能力がモノを言う分野はない。
そういう意味で、ミュージシャンをずっとやるのも結構大変だと思っている。



追記:
ライブハウスに「新宿ロフト」という場所がある。ロフトは幾つか店があるが、ここのオーナーの平野さんは、チケット代からの分配を得ず、1枚目から出演者に100%還元する方式で営業していると聞いている。
平野さんによれば、ライブハウスは飲食業で、そこからの上がりで営むのが筋という事だ。
さすが元左翼活動家。
こういう人もいるらしい。



参考:
ライブハウスのチケットノルマの仕組みについて
http://www.3on3live.biz/live/ticketnorma.html



動員の少ないバンドはライブするのを止めてもらえないだろうか
https://kntr.world-scape.net/?p=161



ライブハウスのチケットノルマの仕組みについて
http://www.3on3live.biz/live/ticketnorma.html



ライブハウスのノルマ(チケットノルマ)について本気だして考えてみた
http://heartleafkk.com/?p=1024

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bassman

はじめまして。
大村憲司さんで検索して、こちらのブログにたどりついて以来、
記事楽しみに拝見させていただいております。

私も以前、イベント等の業務を担当していたことがあり
イベントで収益を上げるのは「よほどでないと難しい」と学んできました。
またアマチュアながらライブハウスで演奏したりしているので、
コロンさんの今回の記事は非常に興味を持ち読まさせていただきました。
なかなかこの手の話は「そうなんだろうな」と想像しながらも案外、明文化されることがないので貴重な内容ですね。

これからエンターテイメントの世界を目指している若い方にも
年取ってから路頭に迷わぬよう、ぜひ読んでもらいたいと思いました。

by bassman (2017-09-14 18:33) 

コロン

bassmanさん、コメントをありがとうございました。これからも精度のある内容で対応させて頂く所存です。

by コロン (2017-09-19 13:00) 

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