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クリエイティブ、エンタテインメント系の仕事を目指す若い人へのアドバイス [独り言]

クリエイティブ、エンタテインメント系の仕事を目指す若い人へのアドバイス


私は1983年に大学を卒業して以来、浮き沈みを経験しながら57歳の現在に至るまで
何とかエンタテインメント系の仕事をして来ました。
社会人前半19年は音楽業界、後半の42歳からは、衛星放送と映像運用+音楽業界という感じです。
振り返ってみると、40年近くこの業界で仕事を続けてこられたのは、ちょっと奇跡的な感じです。
振り返ってみると、私には特別な才能があったように思えない、というは結構普通でした。
ただ好奇心が強く、面白いものが好きで、その入り口は音楽だったという事だ。
結局私にとっての成功例は、韓流ブームに乗ったビジネスだった。
未だにそれで食べているが、韓流も今後どうなるか分からないと思う。


40年近い経験を持った私が、自分の体験を通じて分かった事があるので、以下に記し、今後クリエイティブ、エンタテインメント系の
仕事を目指す若い人へのアドバイスになればと思います。
明示的に言えば、この世界は弱肉強食です。
生き残りが厳しく、結構大変だという事は予めお伝えしておきます。

まず、基本的クリエイティブ、エンタテインメント系のスタッフの仕事は、全般的に給料が安いです。
特に若い時、つまり20代~30代前半においては、一部上場企業の同じ年代と比較して
40~65%程度だと思って差し支えないでしょう。
一部例外はレコード会社ですが、現代のレコード会社は完全な斜陽産業であり、未来は全くありません。
今でもいい給料をもらっている人は40代以降におりますが、早晩立ち行かなくなるでしょう。
レコード産業の売上は全体でも2000億円程度です。また毎年小さくなっております。
(ちなみにアメリカも1997年の1.8兆円から現在では半分以下になっている)
2000億円程度と言えば、一部上場企業なら1社分以下と言えます。そこに何十という会社が存在するのです。
各社のパイが小さいのは算数で分かるでしょう。
それ故に、大変にオセッカイな言い方だが、特に若い人はレコード会社への就職は全くお勧め出来ません。
エイベックスですら音楽部門は他部門に吸収されており、ライブと映像事業が主事業の時代です。
少なくとも音楽業界に関して言えば、インディーズで名を成す方が良い時代とも言えます。


タレントマネージメント会社は、大手であっても大抵は給料は安く激務です。
それでも色々な経験が出来るという点では人生を豊かにしてくれますが、
マネージメント会社に就職したら、売れるアーティストかタレントを発掘し、成果を出さない限り
自分の人生に未来はありません。
大手の会社ですと、40代中盤までに役員や本部長になれない人達以外は早晩、早期退職の対象になります。
従って現場マネージャーのような職種でやれるものは30代後半迄です。
マネージメント会社に入るなら、ノウハウや人脈を作り、タレント発掘して独立するくらいの気概がないと
一生の仕事として行うのは難しいでしょう。
また大手に就職するなら、部長級以上を目指さない限り年収や経費面で美味しくありません。
ただ、事業ノルマはかなり厳しくなります。
この分野の仕事は、アーティストやタレントとクリエイティブ以外の部分で対峙出来、
御する才能を求められます。その才能が無い人は、ただの「ボーヤ」になるだけで、
それ以上でもそれ以下でもない訳です。
40歳過ぎてアーティストやタレントのお世話係をするだけであれば、その先はなさそうというのが事実です。
(アーティストやタレントがその人がいないとダメだと言ってくれれば別ですが、それもリスクがあり)
この業界で残っている人間は、例外なく売れるタレントやミュージシャンを発掘育成しております。
マネージメントはそれが肝の仕事で、その上で仕事を作れるか?が問われるのです。


音楽にしろ映像にしろ、クリエイティブで身を立てようとする人は、基本的に独立した存在を求められます。
つまり才能だけが自分の武器です。
またクリエイティブ系の会社の社長になるのであれば、人脈と仕事作りの才能が必要になります。
そのためには、マーケットで求められる能力が必要であり、また事業継続できる力量が必要です。
音楽でも、デビューしたものの売れなかったり、ちょっと売れても下降線をたどる人は多いですが、
一生の職業とするためには相当な能力と胆力が必要です。
ミュージシャン、アーティストという言葉はカッコいいですが、実際にそれに見合う仕事をやり続ける事が
出来る人はほんの一握りです。
少なくとも20代中盤直後に目途の立たない人は才能的にも運的にも難しいと思った方が無難です。
また、才能だけでなく人間性も重要なファクターです。
才能を切り売りする仕事ですから、必ずクライアントやファンという存在がおり、自分の自由気ままだけで
金が稼げるほど簡単な仕事ではありません。
特に数十年の活動をするためには、一定の社会性も必要で、ミュージシャン、アーティストだから自由でワガママで
言い訳ではありません。
また優秀なスタッフとチームを作る事も大切ですが、金にまつわる話は透明化しておかないと、矢沢永吉さんのように
騙されてしまうことも発生致します。


アニメ業界のアニメーターというと薄給が知れ渡っております。
正直言うと彼らは能力を搾取されていると言って良いでしょう。
平均年収110~150万円なんて、生活保護以下です。
(私が昔やっていたミュージシャンのボーヤもこの程度でしたが・・。)
彼らの「アニメを書く事が好き」という自主性だけが、あの業界を支えている訳です。
しかしアニメ作品が売れても彼らには還元されません。
しかし彼らなしではアニメ業界は成り立たないのです。
そういう観点からみると日本のアニメ業界には、余り未来がありそうにも思えません。
この問題は宮崎駿監督がアニメーターの時代から言われているもので、
それを改善するために作ったのがジブリでした。
しかし、結果的に言えば、ジブリですら根本的な解決案を見いだせないままでした。
それは宮崎さん以外のヒットクリエイターをジブリ自身が作る事が出来なかった事にあります。
アニメーターはクリエイターというよりは作業者に近いため、どうしても地位が上がりにくいからです。

大ヒットした「君の名は」で一番儲かったのは配給の東宝でしょう。
300億円の興業収益だそうなので、30億円程度が手元残ったはずです。
その次に潤ったのは劇場でしょうかね。それと座組の投資家でしょうか?

またDVDもかなり売れるでしょうから、その販売元の利益は億単位でしょう。
監督にどの程度配分されるか分かりませんが、今後、監督さんはその利益を元にしてファイナンスし、
自主制作することをお勧め致します。
著作権を完全に保有する事以外にクリエイターがビジネスと対峙することは不可能です。
シンゴジラの庵野監督はもうその辺りに気が付いておりますよね。
後年のルーカスがスターウォーズの制作費を自主調達したのはそうした背景があったのです。
つまり、映画で稼いだ金で次を作り、それを繰り返すという事です。
そうすればビジネスサイドからの干渉を避けられ、クリエイティブに専念できるし、
配給からMGを支払ってもらえれば回収も早い訳です。

そういう意味で、アニメ業界には大いなるビジネス上のポテンシャルが有しながら、
底辺で搾取されるアニメーターやクリエイターの自助努力で成り立っていると言っていいでしょう。
(音楽でもそういう面がありますね・・・)
庵野監督は気がついているようですが、クリエイターたちが自立したければ、経済的自立が必須です。
そこに無頓着な人は大成出来ないというのがエンタビジネスの事実です。


以下のサイトを見ても分かるように、音楽業界の働き先はどこも低賃金です。
http://www.musicman-net.com/

人手不足で音楽業界も先の見えない時代に、こんな賃金の世界で働く事を求める人がどの位いるのかは疑問です。
私の時代は未来が明るかったので、希望という根拠のない未来を信じて、滅私奉公しても元が取れそうな
感じが致しました。
しかし、今の音楽業界には未来が見えず、滅私奉公は人生の無駄になり兼ねません。
現代の音楽業界は、業界全体で雇用環境を考えた方が良いのではないでしょうか?


私の知り合いでも、今でも生き残っている人は数が限られます。
人によってはリストラされ、フリーランスを余儀なくされております。
やはりエンタメ業界は、基本的にやり続けるのが難しい世界だなと思う次第です。


総括:

(1)この業界で仕事をするなら、普通のサラリーマンを超えて成功してやるという気概が必要。
(2)そもそもエンタメの仕事が三度の飯よりも好きでないと全く耐えられません。
(3)若い時代に定収入だとしても、必ず取り返すと決めて、チャンスと人脈のために自分の時間を過ごすこと。
(4)30代中盤から後半にかけて、当初の見込みとかけ離れていると感じた場合、人生の方針転換をすること。
(5)40代に入ってから業態、業界を変えるのは相当なリスクとなる。(私はこのリクスに直面した)
(6)この業界に限らず、トップの成功を収められる人は1%以下です。
   そこに残れないと思うのなら止めた方がいい。
   (ちなみにサラリーマンでも役員になれるのは1%以下だが、定年まで生き残れる可能性は本業界より遥かに高い))
(7)クリエイター(ミュージシャン含む)においては、30歳前に成功しなければ辞めた方がいいです。

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